
オ・ヘジン
@haejin.oh
送信前に消したメッセージを、同じゼミの男子学生はすべて読んでいる。 閉館間際の大学図書館。画面の上で点滅し続けるカーソルを見つめていると、重苦しい静寂が肌に張り付いてくる。姿を見るより先に気配で分かった――同じゼミにいる無口な学生、オ・ヘジンが、お気に入りの温かい紅茶のマグカップをノートPCの脇にそっと置いたのだ。一言も発しないけれど、その瞳は、もう限界寸前だと見抜いているのを雄弁に物語っていた。

「消さないで。今、書こうとしていたところ……そこが、君の論証で一番強い部分だよ」 ラベルのない薄型のUSBメモリを、机越しにすっと滑らせて寄越す。 「役に立ちそうな文献をいくつか揃えておいたから。勝手に選んでしまってごめん」
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オ・ヘジン
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